研究活動|名古屋大学グローバルCOEプログラム|テクスト布置の解釈学的研究と教育

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研究活動

研究員ブリーフィング

第26回ブリーフィング

2010年10月19日に第26回グローバルCOE研究員ブリーフィングが
名古屋大学文学研究科グローバルCOEオフィス(名古屋国際センター)にて開かれた。

小澤 実 研究員
『国王のルーン石碑 ゴーム老王からクヌート王まで』                                                                                                                                      

[2010年10月19日第26回ブリーフィング報告要旨]

<小澤 発表レジュメ>
 報告者はこれまで、紀元千年前後の北欧社会において集中的に建立されたルーン石碑を、建立者による政治的表徴の手段という観点から分析してきた。本報告は、従来の分析視角を踏まえ、イェリング王朝の国王に関する石碑に焦点を絞り、ゴーム老王からクヌート王にいたるイェリング王権の特徴の一端をあぶりだそうとの試みである。
 ここでは便宜的に(1)国王によるルーン石碑(DR1, 41, 42)、(2)国王の一族によるルーン石碑(DR55)、(3)国王の従士によるルーン石碑(DR1)、(4)国王の名前に言及したルーン石碑(NyIR184, Sm42, Og111, U194, U241, U344)の四つに分け、最初にそれぞれの石碑のもつ個別データを概観した。その際、以下の三点に注意した。ひとつは、支持体である石の大きさや背景装飾といった「もの」としてのルーン石碑の側面が与える情報にも着目することである。ふたつめは、当該石碑が複数の石碑によって構成されるモニュメントの一部をなすものである場合、そのモニュメント全体を考察の対象にすることである。みっつめは、建立者もしくは記念されるべき死者にかんする同時代的な社会背景を十二分に考慮することである。
 報告者は以上の概観から得られたデータを利用して、三つの論点を提示した。ひとつは滅失石碑の問題である。二つ目はスヴェン双鬚王の建立した石碑を含むヘゼビュー石碑群の問題である。三つ目はデンマークのルーン石碑とスウェーデンならびにノルウェーの石碑の比較である。いずれの問題も現段階では調査途上であり、必ずしも明確な答えは出なかった。しかしながらこの三点の問題はイェリング王権の権力生成や行使に関して重要なデータを与えることが予想できたことは、イェリング王権研究にとって大いなる進歩であったと思われる。

 

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