研究活動|名古屋大学グローバルCOEプログラム|テクスト布置の解釈学的研究と教育

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研究活動

研究員ブリーフィング

第16回ブリーフィング

2009年10月22日に第16回グローバルCOE研究員ブリーフィングが
名古屋大学文学研究科グローバルCOEオフィス(名古屋国際センター)にて開かれた。

谷部 真吾 研究員
『行為と伝承                                                                             -見付天神裸祭における行事構成の分析を通して-』

[2009年10月22日第16回ブリーフィング報告要旨]

<谷部 発表レジュメ>
本発表では、静岡県磐田市で行われている「見付天神裸祭」を事例として、この祭りを構成する諸行事を分析することで当該儀礼の特徴について考察した。見付天神裸祭は、磐田市の北部に鎮座する矢奈比賣神社(通称:見付天神社)の例祭である。この祭りは、2000年12月に国の重要無形民俗文化財に指定され、現在28町内が参加し、腰蓑をつけた男性たちによって勇壮な行事が繰り広げられている。この祭りの行事は、大きく4つに分けられる。それは、①祭事始(大祭7日前)、②浜垢離(大祭3日前)、③御池の清祓(大祭前日)、④御大祭(大祭当日)の4つであるが、このうち①~③までは、その行事の形態からいって、見付の町中や参加者、さらには神社境内を祓い清めるための行事であることは明らかである。また、④の御大祭における主要行事は、腰蓑をつけた男性たちが見付の表通りを行き来する「道中練り」と、彼らが見付天神社の拝殿に飛び込み、その中で体をぶつけ合う「鬼踊り」の2つであるが、これらの行事の持つ意味は明治期に書かれた記述や祭りの中で唱えられる祝詞からすると、陰陽道の技の1つである反閇であろうと推察される。こうした分析からすると、見付天神裸祭とは、この祭りに関わる人々や空間(境内および町中)を何度も祓い清めた上で、氏神を渡御させ、氏子域に祝福を与える祭りであるということができよう。
しかし、このような解釈に、問題がないわけではない。なぜならば、以上のように祭りの意味を捉えてしまうと、鬼踊りの起源を語る伝承と齟齬をきたしてしまうからである。だが、実際に祭りの中で行われる行為を注意深く眺めてみると、そうした行為と伝承の内容とがほとんど対応していないことに気づく。また、近世後期に成立した地誌の類を見てみると、その伝承自体、現在耳にするものとは大きく異なっている。こうした点からすると、鬼踊りの起源を語る伝承は、近世後期以降に創造(もしくは改変)され、現在のような形に整えられた可能性があるのではないだろうか。本発表ではそのような指摘を行った上で、祭りの中で実践される行為とその行為に関わる伝承とは、それぞれ行為の体系と言語の体系という別々の体系に属するものであることから、これら2つが関係をもつかどうかは、必ずしも一義的に決められるものではないことを主張した。

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