教育プログラム
テクスト布置解釈学
第11回「テクスト布置解釈学原論」授業
2007年12月12日に第11回「テクスト布置解釈学原論」の授業が行われました。
担当:名古屋大学大学院文学研究科 高橋 亨 教授(日本古典文学)
<授業要約>
物語テクストの絵と歌について
『源氏物語』や『狭衣物語』などの平安朝の物語作品においては、その生成の過程から絵や歌との密接な関係がある。画中に複数の場面をもつ屏風絵においては、そこに画中の人物に同化した内部の視点から、また、その場面を外部の視点から対象化した屏風歌が詠まれている。それらを連続的に結合すれば、歌を伴った物語が生まれる。あるいは、歌絵とよばれるような小画面の紙絵においては、それらを複数組み合わせて配列することによって、やはり歌を伴った物語が生成する。そうした文献記録はあるが、平安朝中期までの実作品は、ほとんど現存していない。
現存するのは、徳川・五島本の『源氏物語絵巻』など、平安朝後期から江戸期に至る「源氏絵」などの物語絵であり、それらは文字テクストの享受によるものである。その享受においては、歌や詞書を伴わない絵のみの絵画化や、絵を伴わない歌のみを採録したテクストも生成している。
本講義においては、こうした平安朝物語における絵と歌と物語テクストとの関連について概括するとともに、『源氏物語』と『狭衣物語』の絵画資料を具体例として、その歌との関わりについて考察した。特に、『狭衣物語』の絵画資料に関しては、従来は鎌倉時代の絵巻断簡と承応版本の挿絵のほかは、ほとんどその存在が知られていなかった。それら『狭衣物語』の現存絵画資料を紹介し、それに基づいたテクスト論の可能性を探った。



