研究活動|名古屋大学グローバルCOEプログラム|テクスト布置の解釈学的研究と教育

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研究活動

研究会

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2010年7月7日(13:30〜15:00),グローバルCOE事業推進担当者および研究教育員による研究会を文学研究科大会議室にて開催した.


鎌田 隆行 講師
『ジェラール・ジュネットとテクスト布置の思想――パラテクストを中心に』

本発表ではまず、ロラン・バルトの有名なマニフェスト「作品からテクストへ」と、バルトが提起した問題を批判的に継承したジェラール・ジュネットの「テクストから作品へ」の読解をもとに、「作者の意図」に依拠した従来型の解釈を批判して読者による内在批評的な読みの多様性へと文学を解放しようとしたバルトの主張と、バルトが大胆かつ不用意に切り捨てた作者、歴史的コンテクスト、書物の物質性、テクストの具体的差異化等の問題の検討がジュネットによる「超=テクスト性」(テクスト布置)の分析において重要な役割を担っていることを確認した。
続いて、テクスト布置の諸問題のうち、パラテクストについてその定義と分類のパラメーターを確認し、バルザックにおける題名・支持体・序文的言説の問題を検討した。ジュネットが指摘するように、パラテクストはその多様な現われにもかかわらず、1)作品の価値の正当化、2)読解の方向付け、の二つを主な機能とする。しかし、バルザックのように複数の作品を並行して執筆・修正する場合、ある作品のパラテクスト、とりわけ序文的言説は進行中のいくつかの作品計画の方向性を変容させる生成的機能を持ちうるのであり、パラテクストの先行研究において未報告であるこの問題の重要性を指摘した。
最後に、テクスト布置の論考を進める上での今後の課題として、翻訳テクストにどのような位置づけを与えるべきか、またそれと関連して翻訳者・編集者など、作者・テクスト・読者を結ぶコミュニケーションに介在する存在の役割を理論的にどのように捉えるべきかという問題を提起した。
質疑応答ではこれらの問題をめぐってそれぞれの専門の立場から知見を交換し、とりわけジュネットが言語変換の次元でのイペルテクストとしている翻訳テクストに対して言語学的観点からの検討が有効であるという展望が確認できた。

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