研究活動|名古屋大学グローバルCOEプログラム|テクスト布置の解釈学的研究と教育

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研究活動

研究会

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2010年3月3日(13:30〜16:00),グローバルCOE事業推進担当者および研究教育員による研究会を文学研究科大会議室にて開催した.


松澤 和宏 教授
『テクスト布置の解釈学について』

21世紀COEプログラム「統合テクスト科学の構築」の構想が逢着したコミュニケーションという概念の問題点を取り上げて、テクスト布置の解釈学の素描を試みた。まず最初にヤコブソンの有名な「コミュニケーションの図式」を批判的に考察し、機械論的説明に傾きがちな側面を明らかにした。そのうえで、伝統的なテクスト概念を検討し、テクストが社会共同体によって権威を賦与されたものであり、注釈の対象となるものであることに着目し、そこに〈同じもの〉であろうとするがゆえに、引用や解釈や翻訳の対象となることを通じて不可避的に〈別のもの〉となっていく内在的逆説を指摘した。さらにテクストが注釈の対象となるということを、テクストは(メタ)テクストを生むというように捉え返すことで、テクストの生産性を明らかにし、この観点からテクストがテクスト産出の結果であると同時に起点ともなることを、テクスト布置として提示した。最後にテクストを生産の時点の文脈と受容の時点の文脈とを背負った二重性として捉えることで、地平の融合(ガダマー)がよりよく理解できることを明らかにした。こうして起源の文脈の復元をもっぱら目指す実証主義的客観性と脱構築的な起源批判がともに一面的なテクスト理解に陥っていることが理解されよう。

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