研究活動|名古屋大学グローバルCOEプログラム|テクスト布置の解釈学的研究と教育

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研究活動

オープンレクチャー

第4回オープンレクチャー

2008年1月16日(水)18:00~
古尾谷 知浩 准教授(名古屋大学大学院文学研究科・日本史学)
『文字瓦と知識』

<内容概略>

 古代の遺跡で出土する瓦の中には、焼成前に篦などで文字を書いたものがある。この文字は、生産段階でしか記せないもので、手工業生産にどのように人間が関わったのかを示す資料である。人名を記した文字瓦の中には、東国国分寺出土文字瓦に典型的に見られるような、郡名刻印の如き律令制的行政単位名を伴うものと、大阪府堺市の大野寺土塔出土文字瓦に典型的に見られるような、個人名のみのものがある。従来、前者は律令国家主導で建設された国分寺が律令制的負担体系に基づいて造営されたことを示しているとされ、後者は、行基が発願した土塔が個人の知識によって造営されたことを示すものと考えられてきた。しかし、現在、国分寺文字瓦も知識を示しているとの説が出されている。一方、土塔関連の文字瓦の中にも、土塔が所在する大野郡の隣郡にあたる和泉郡に属する池田里の銘を持つ資料がある。これは、別郡に属する人物をことさらに区別するために記したものと推定できる。逆に行政機構名を伴わない資料は大野郡であることを示していると考えられ、いずれも郡の枠組みを意識した記載と評価できる。つまり、行基の知識集団の単位は律令的行政機構の枠組みを利用しているのである。

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