研究活動|名古屋大学グローバルCOEプログラム|テクスト布置の解釈学的研究と教育

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研究活動

研究員ブリーフィング

第33回ブリーフィング

2011年9月28日に第33回グローバルCOE研究員ブリーフィングが
名古屋大学文学研究科グローバルCOEオフィス(名古屋国際センター)にて開かれた。

深津 周太 研究員
『連体詞「ちょっとした」の成立
―情態副詞の程度副詞化が引き起こす一現象―』

[2011年9月28日第33回ブリーフィング報告要旨]

<深津 発表レジュメ>
 現代語において、物事がわずかで大げさでないさまを表わす際に、連体詞「ちょっとした」が用いられる。この語は、「さらっとした感触」「はっとした表情」のような[擬態語+とした[NP]]型の連体修飾表現と同形態でありながら、意味的には<程度>を表わすといった矛盾を孕む。
 本発表では、情態副詞の程度副詞化という現象を契機として、[擬態語+とした[NP]]という連体修飾表現に再分析が施された結果、[程度副詞+した[NP]]という構造をもつ「ちょっとした」のような語が生じたことを主張した。
 平安期以降、擬態語を動詞化する形式の一つとして「~とする」が用いられる。14世紀以降は、その連体用法である[擬態語+とした[NP]]が生産的に生み出されるが、その一例として、15世紀以降出現する「そっとした」を挙げることができる。また、それとほぼ同時期に、[擬態語+と]という構造を持つ情態副詞「そっと」が、それ自体を一形態素とする程度副詞「そっと」へと変化する。
 「そっと」が一形態素として語基となりうる要素へと変化したことで、「そっとした」の構造が、従来の[擬態語+とした]から[程度副詞+した]へと変化する下地が整った。「そっとした」が後者の構造へと再分析され、さらに17世紀に情態副詞から程度副詞へと変化を果たした「ちょっと」がその構造へと類推されることにより、「ちょっとした」という形式は生じたものと考えられる。

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