研究活動|名古屋大学グローバルCOEプログラム|テクスト布置の解釈学的研究と教育

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研究活動

研究員ブリーフィング

第22回ブリーフィング

2010年4月28日に第22回グローバルCOE研究員ブリーフィングが
名古屋大学文学研究科グローバルCOEオフィス(名古屋国際センター)にて開かれた。

前澤 大樹 研究員
『W類形容詞と非主題的項』

[2010年4月28日第22回ブリーフィング報告要旨]

<前澤 発表レジュメ>
本発表では、「W類(class W)」と呼ばれる形容詞のクラスが示す特異な構文的特徴に対し、統語的説明を与えることを試みた。(1)に示すように、W類形容詞は1つまたは2つの項と見られる要素を伴い、3構文の間で交替を示す。このような交替パタンは他のクラスの述語には見られないものであり、3つの構文がそれぞれどのような構造を持ち、同一の特性を持つ語彙項目から如何に導かれるかが疑問となる。この問題を扱う先行研究には、(1)に見る3つの構文のうち2つが基本的構造を共有し、その2構文間の表面上の差異は独立の過程によって生じるという点で見解の一致が見られるが、構文間の具体的区別については2種類の異なる立場がある。パラダイムを(1a)と(1b, c)に切り分けるWilkinson (1970)やStowell (1991)の立場は、(1b, c)の差異を導く上で困難を生じる。統語操作に対する一般的制約に反して、2項の何れの主語位置への移動も認めねばならないからである。これをW類形容詞による属格付与の随意性に帰するStowellの分析には、経験的に多くの問題がある。一方、パラダイムを(1a, b)と(1c)に切り分けるBennis (2004)やLandau (2009)の立場では、一貫して最上位の項が主語位置へ移動すると分析されるため、そのような問題は生じないが、(2b, c)を区別する節要素の随意性は説明に困難を伴う。本発表では、後者の立場を取りながら、(1)に見る節要素が述語によって選択されながら意味役割を付与されない「非主題的項(non-thematic argument)」であると主張し、(2)の構造を提案した。これにより、節要素の振る舞いが典型的補部・付加詞の何れとも異なるという事実が捉えられるとともに、それが解釈を得るためにTP領域で義務的に法演算子の制限節に写像されるという帰結に基づいて、各構文が示す解釈上の特性にも説明を与えることができた。
(1) a. John is {clever/mean}. 
      b. John was {clever/mean} to punish the dog. 
      c. Punishing the dog was {clever/mean} (of John).
(2) a. [TP Johni is ... [aP ti aPoss [P √clever]]]
      b. [TP Johni was ... [[ ... [aP ti aPoss [√P √clever tj]]] [CP to punish the dog]j]]
      c. [TP [DP Punishing the dog]i was ... [aP ti a [√P √clever ([PP of John])]]]

 

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