研究活動|名古屋大学グローバルCOEプログラム|テクスト布置の解釈学的研究と教育

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研究活動

研究員ブリーフィング

第29回ブリーフィング

2011年1月19日に第29回グローバルCOE研究員ブリーフィングが
名古屋大学文学研究科グローバルCOEオフィス(名古屋国際センター)にて開かれた。

前澤 大樹 研究員
『Discontinuous AP Constructions and Raising of the Head Noun within DP』           

[2011年1月19日第29回ブリーフィング報告要旨]

<前澤 発表レジュメ>
本発表では、similar等の形容詞が形成する(1)のような不連続AP構文(以下DACP)に対する自らの分析を(2)のように同じくDAPCを許すtough形容詞・W類形容詞に拡張するとともに、これらのクラスによるDAPCに見られる制限に着目することで、仮定される主要部名詞繰上げのメカニズムを明らかにし、DPの内部構造の解明に寄与することを試みた。
Maezawa (2008)では、一般にDAPCの不連続な語順は、(3)に示すように主要部名詞が形容詞の補部内に生成される基底構造をより直接的に反映したものであると主張した。これを(2a,b)に敷衍して得られる (4a,b)の構造は、近年のtough構文の分析及びW類形容詞の観察から支持され得る。
注目されるのはこれら2つのクラス及びsimilar類によるDAPCに観察される限定詞/数詞に対する制限である。Yasui et al. (1976)の示す(6)等のデータ、及びコーパスに見られる(7)のような例の観察からは、DPが意味的実質を持つ数の情報を担わない場合のみ当該のDAPCが可能との一般化が得られ、提案した分析の下で、それは主要部名詞の繰り上げが随意的であることを意味する。この関係性を捉えるため、本発表では形態的数を表示する素性とは別に、DPは実質的数情報を持つ場合のみ対応する意味素性[Lat]を担うと提案した。即ち(8)に示すように、その場合D下位のNumが解釈可能な[Lat]素性を、主要部名詞が解釈不可能な[Lat]素性を持つため、それ自体は随意的な主要部名詞繰上げが適用されなければ後者が削除されず、(6)のようなDAPCが排除されると主張した。この分析は統語的数素性と意味的なそれを区別するHeycock and Zamparelli (2005)等の見解に支持を与える。

(1) a similar car to mine
(2) a. a difficult problem to solve           b. a stupid man to do it
(3) a. [DP D [AP A [ [Head Noun] ...]]]  b. [DP D [Head Noun]i [AP A [ ti ...]]]
(4) a. [DP a [AP difficult [[man]i to solve ti]]]  b. [DP a [AP stupid [[man] to do it]]]
(5) two {*similar cars/cars similar} to mine
(6) a. *John was the wise man to run away from the bear.
      b. *A kind man to bring it to me went out five minutes ago.  (Yasui et al. (1976: 227))
(7) a. It's better to take care of yourself than to trust some stupid guy to do it, you know.
     (BU--F941396)
      b. I don't know if I just have an easy name to say!    (NBA--990717)
(8) [DP D [NumP Num[iLat, uNum] [[Nead Noun[uLat, iNum]]i ... [ ... ti ... ]]]

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