研究活動|名古屋大学グローバルCOEプログラム|テクスト布置の解釈学的研究と教育

ここから本文です

研究活動

研究員ブリーフィング

第1回ブリーフィング

2007年10月31日に第1回グローバルCOE研究員ブリーフィングが
名古屋大学文学研究科グローバルCOEオフィス(名古屋国際センター)にて開かれた。
2名の研究員による研究発表がなされた。

永田 道弘 研究員
『生成論はフーコー的ルーセル像をいかに変えうるか?』

杉山 奈生子 研究員
『18世紀フランスにおける彫刻の受容〜描かれた彫刻と綴られた彫刻』

[2007年10月31日第1回ブリーフィング報告要旨]

<永田発表レジュメ>
ルーセル研究においては、1960年代以降、フーコーに代表される、もっぱら言語の形式的構造からルーセルを評価してきた批評傾向が支配的であった。このような批評傾向が拠るところのものとしては、ルーセル自身が死後出版の書物中で明かした特殊な創作手法(「プロセデ」)があった。しかし、フォルマリスト的アプローチは、手法=プロセデの抽象的原理を強調しすぎるあまり、ルーセルをルーセルたらしめている作品の荒唐無稽さがどのようにして生まれたのか、十全に説明しきれていない。しかも、1989年の『アフリカの印象』の草稿の発見により、ルーセルはプロセデの抽象的原理のみに頼って作品を書いたわけではないこともわかってきた。しかしながら、『アフリカの印象』の草稿にプロセデの痕跡が殆ど見出されなかったという事実は、皮肉にも、発見された草稿への関心を低下させてしまっている。ルーセル研究が現在も抱える「ルーセル=プロセデの作家」という図式への呪縛からいかに逃れるべきか?その一つの可能性として、フーコーらが等閑視してきた、テクストをとりまく社会・文化的コンテクストを考察の対象とする方向性がある。今回の発表では、ベル=エポック期にフランス社会で共有されていたアフリカの通俗的な表象に注目し、いかにしてルーセルがこの表象を素材として自らの作品に取り込み、執筆過程においてどのように変形させたのか、草稿を手がかりに探っていきたい。

<杉山発表レジュメ>
これまでに、18世紀フランスの画家アントワーヌ・ヴァトーの雅宴画に関して、前テクストであるデッサンとテクストとしてのタブローの関係を生成論として論じ、また、描かれた彫刻モティーフの解釈を、イメージの中のイメージ(絵の中の絵、絵の中の彫刻)という共通項を有するヴァトー以前や同時代の作例との比較・引用関係の追求により新知見を呈した(SITES,3-1;4-1)。引き続き、ヴァトーの雅宴画に描かれる彫刻モティーフを取り上げ、図像テクストを用いた従来の美術史学的手法による解釈とともに、コンテクストのいくつかの題材を作品解釈に適用し、テクスト布置の総体としての解釈に進展させる予定である。今回は、18世紀当時に流行した古代彫刻版画集やヴェルサイユ庭園の彫刻版画集の受容とヴァトーの描いた彫刻モティーフとの関連について調査報告を行い、公的なプロパガンダとしての美術ではなく18世紀に特徴的な目を喜ばせる私的な鑑賞用としての絵画であったヴァトー作品の新たな解釈を提示した。

このページのトップへ