研究活動|名古屋大学グローバルCOEプログラム|テクスト布置の解釈学的研究と教育

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研究活動

研究員ブリーフィング

第2回ブリーフィング

2007年11月21日に第2回グローバルCOE研究員ブリーフィングが
名古屋大学文学研究科グローバルCOEオフィス(名古屋国際センター)にて開かれた。

西村 善矢 研究員
『モンテ・アミアータ修道院の証人・同意人副署について
----中世初期イタリア証書の生成論に関する予備的考察----』

小林 智 研究員
『本近代秩序の解明に向けて――自由・法規範・権力行使』

[2007年11月21日第2回ブリーフィング報告要旨]

<西村発表レジュメ>
 中世イタリアを代表する文字テクストの一つに、土地財産の売買や贈与、貸借などにさいして作成された証書がある。公証人制度成立以前の中世初期証書にみられる特徴の一つは、書き手である書記(ノタリウス)以外の人物が文書作成に主体的に関与した点にある。つまり、文書作成を書記に依頼し、また法行為の主体としての役割を演ずる契約当事者も、本文において書記とならんで一人称で登場するばかりでなく、羊皮紙の下部に副署する証人や同意人を自ら選択する立場にあったのである。
 以上の点をふまえて、まず私は中部イタリアのモンテ・アミアータ修道院に伝来する8・9世紀の文書を素材として、証書の生成過程、ならびに証書のテクスト布置を仮説的に再構成した。その上で、とくに証人や同意人の選択方式に注目することにより、契約当事者が証書の生成に及ぼした影響に関する予備的考察を行った。

<小林発表レジュメ>
近代的自由とは、無束縛・無権力状態での放縦を意味するものではない。それは、M・フーコーが近代秩序の象徴として見出したパノプティコンの構造からも読み取れる。そこでは、他者を前に規範解釈を行う主体が形成される。このとき、自律=自由とは、主体が自らの規範解釈の妥当性を他者に訴えつつ、それに基づき行為することを意味する。当該秩序では、当該主体が法的権利実現の手段として国家権力を使いこなす態度と実践が要請されるであろう。
さて、周知のとおり、日本では明治期に西洋近代的諸制度が導入されたが、上記の観点から、近代的主体形成がなされたか否かが問題となる。この点、「教育勅語」に象徴される公民教育からは、一般人民による近代秩序原理の理解を妨げる政策が看取される。わが国では、こうして法的権利を主張する主体の形成を妨げる一方、制度運用を担うエリートを養成するという、いわば二重の主体形成戦略が採られたように思われる。

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