研究活動|名古屋大学グローバルCOEプログラム|テクスト布置の解釈学的研究と教育

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研究活動

研究員ブリーフィング

第14回ブリーフィング

2009年7月2日に第14回グローバルCOE研究員ブリーフィングが
名古屋大学文学研究科グローバルCOEオフィス(名古屋国際センター)にて開かれた。

金 銀珠 研究員
『中古語の主格助詞「の」と述語の名詞性』

[2009年7月2日第14回ブリーフィング報告要旨]

<金 発表レジュメ>
 中古の日本語において主語を表す助詞「の」は(1)のような連体修飾節,(2)のような用言の連体形がそのまま名詞句として用いられる準体節,(3)のような主節,(4)のような接続節において主語を表すことができた。
(1) 月のをかしき夜,忍びたる所に,(源氏物語・若紫)
(2) それだに人のあまた知らむはいかがあらん,(源氏物語・帚木)
(3) かかる所には,いかでか,しばしも幼き人の過ぐしたまはむ。(源氏物語・若紫)
(4) 空のうち曇りて,風冷やかなるに,いといたくながめたまひて,(源氏物語・夕顔)
 本発表では,(4)のような接続節において「の」形式が主語を表す場合の節内における述語の形態,意味,統語的特徴について考察した。従来の研究においては「の」形式が接続節において主語を表す(4)のような例の存在が言及されながら,このような例を正面から分析した論は見当たらない。これは「の」形式が主語を表すのは(1)~(3)のような述語が連体形を取る場合が中心であったからに他ならない。連体形述語を取らない周辺部の例から考察することで,連体形述語の前で主語を表す「の」形式の統語機能にも迫ることができるのではないかと考えた。また,中古語の助詞「の」に関してはそもそも助詞「の」が「神の手」「ものの音」のように属格形式として用いられながら,同時に主語を表す助詞として用いられたのはなぜか,という根本的な問題がある。この問題に対し,「の」接続節に見られる述語の形態・意味・統語的な特徴は形式「の」が名詞を修飾するのと同じように,述語の名詞のような性質に係ろうとするために生じる現象ではないかという見通しを示した。

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